本研究室で独自開発された両面が自由表面の大面積グラフェン(large-area suspended graphene: LSG)※3 を世界最薄のターゲットとして用い、QST関西光科学研究所の光量子科学研究施設(J-KARENレーザー)を用いた高エネルギーイオン加速を初めて実現しました。
これまで薄膜を用いたレーザーイオン加速の理論では、レーザー照射するターゲットが薄いほど高効率の加速が起こると考えられておりましたが、ターゲットが薄いほど脆くなり、レーザーパルスのノイズ成分によって、レーザーパルスが到達する前にターゲットが破壊されるため実現困難でした。
今回、我々の研究グループは、ダイヤモンドより強いといわれるグラフェンを世界最薄のターゲットに用いることにより高エネルギーイオン加速を実現しました。これにより、粒子線がん治療やレーザー核融合などに用いられるコンパクトで効率の良いイオン加速器への応用、さらにレーザーを用いた宇宙物理や核物理への応用が期待されます。
本研究成果は、Springer Nature社の国際誌「Scientific Reports」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-06055-4
本研究は, 量子科学技術研究開発機構(QST)の福田祐仁上席研究員、神戸大学の金崎真聡准教授、台湾国立中央大学のWei-Yen Woon教授との共同研究により実施されました.