研究紹介(2020年更新) 環境に優しい基幹エネルギーの有力候補である 核融合エネルギー研究 を柱とし、その中で培われたプラズマ生成技術、イオンビーム技術に加え、超音波技術や機械学習を取り入れて新しい応用分野の開拓を行っています。
核融合研究 では、磁場閉じこめプラズマ装置におけるプラズマと壁材料の相互作用研究を軸として、発電炉実現に向けて研究を続けています。壁材料に関わる大きなテーマは、「熱・プラズマ照射による材料特性への影響評価とその健全性確保」、及び「炉材料中のトリチウム挙動の研究と制御」です。本研究室では、特に核融合炉内複雑環境下での現象解明にいち早く着目し、研究を行ってきました。複雑環境とは、様々なイオン(重水素、トリチウム、ヘリウム、壁材料イオン(炭素等)、冷却ガス(アルゴン、窒素など)、中性子照射、パルス・定常熱負荷が同時に照射される環境を意味します。また、国際協力で進む核融合開発プロジェクトITERに直接貢献すべく、「ベリリウムとタングステンへの熱・粒子負荷における蒸気遮蔽効果の研究」を行っています。
応用研究 では、「レーザー超音波を利用した非破壊検査法の開発」、さらには「イオンビーム・プラズマ照射による材料表面の改質とその応用」として表面化学反応制御、及び新しいプラズマプロセスによる機能性表面の創出を行っています。特に、表面化学反応としてタングステンやその他の材料をベースとした新たなガスセンサ、リチウムイオン電池用電極、水素製造触媒の開発を進めています。
また、プラズマ壁相互作用に関する各種データに対し、AI・機械学習を利用した再解析を実施し、新物理の発見や新データの予測を目指した「データ駆動プラズマ壁相互作用科学の創成」をスタートしました。プラズマ科学に軸を置きつつ、AI・機械学習の素養を身に着けるため、情報科学の基礎から学習してもらっています。
具体的には、以下の研究テーマがあります。詳しい説明は、各項目をクリックすると見られます。
1.熱・プラズマ照射による材料特性への影響評価とその健全性確保
1-1 タングステン系材料のパルス熱負荷による損傷の発生とその抑制法開発
1-2 高熱負荷による先進タングステン材料の溶融挙動の研究
1-3 ITERモノブロック材料のパルス・定常熱負荷下での健全性の研究
1-4 ITERダイバータ熱・粒子負荷環境におけるタングステン材料応答
2.核融合炉材料中の水素同位体挙動の研究
2-1 重水素/ヘリウム混合イオン照射下でのタングステン中の重水素透過挙動の研究
2-2 重水素/炭素混合イオン照射下でのタングステン中の重水素透過挙動の研究
2-5 トリチウムを用いた水素同位体蓄積・拡散の研究(共同研究(富山大学))2
2-6 シミュレーションによる核融合炉壁中のトリチウム蓄積量評価
3.プラズマプロセスを用いた機能性材料の創成
3-1 ヘリウム誘起ナノ構造の触媒応用研究
3-3 ヘリウム誘起ナノ構造のリチウムイオン電池電極応用研究
3-4 ヘリウム誘起ナノ構造のガスセンサ応用研究
4.電磁超音波素子の開発と非破壊検査手法の開発
5.混合炭素堆積膜の構造と水素同位体蓄積
5-1 混合炭素堆積膜の構造と水素同位体蓄積挙動
5-3 ナノ構造上の炭素堆積膜特性の解明
国際共同研究機関
ユーリッヒ研究開発センター (ドイツ)
マックスプランク研究所 (ドイツ)
オランダ基礎エネルギー研究所(DIFFER) (オランダ)
アイダホ国立研究所(INL) (米国)
オークリッジ国立研究所(ORNL) (米国)
国内共同研究機関
日本原子力研究開発機構(茨木県)
核融合科学研究所(岐阜県)
東北大学金属材料研究所(茨城県、大洗)
筑波大学プラズマ研究センター(茨城県)
名古屋大学 工学研究科(大野研、愛知県)
京都大学エネルギー理工学研究所(京都府)
富山大学水素同位体科学研究センター(富山県)
兵庫県立大学 工学研究科(永田研)(兵庫県)
九州大学 応用力学研究所(福岡県)